✳︎口唇裂・口蓋裂
🔹口唇裂・口蓋裂とはこんな疾患です
口唇裂とは、一般に上口唇(上くちびる)に裂(切れめ)ができた状態で生まれ
てくる疾患です。また、口蓋裂とは、口腔(口の中)と鼻腔(鼻の中)を隔ててい
る口蓋(上あごの歯列の内側の部分)の部分に裂を生じて生まれてくる疾患を呼ん
でいます。
▶︎口唇裂・口蓋裂が生じるメカニズム
母親の胎内に宿った赤ちゃんの顔の部分は、最初から形ができあがっているの
ではなくて、顔面突起と呼ばれるものが組み合わさり、徐々にくっつき合ってで
きあがっていきます。同じように口腔の天井ともいえる口蓋も、口蓋突起という
組織が合わさってくっついて作られます。
これからは妊娠の初期である約3ヶ月頃までに見られ、この間の過程になんら
かの異常が起きると、本来組み合わさる部分がうまくくっつかなくなり、その結
果、裂が残って、口唇裂や口蓋裂が発生すると考えられています。
▶︎分類と発生頻度
ひと口に口唇裂・口蓋裂といってもさまざまなタイプがあり、医学的には裂の
できる場所や範囲によって分類されており、口唇裂であれば、上唇の左右どちら
か片方のみに生じる場合や、左右の両方に裂が生じる場合もあり、裂の範囲も唇
だけでなく鼻や歯ぐきの方まで広がっていることもあります。
口蓋裂においても、口蓋全体に裂が生じる場合や、軟口蓋と呼ばれる口蓋の奥
の部分だけに裂があったり、表面からは見えない口蓋粘膜の下の組織だけに裂が
存在しているタイプなどさまざまです。
また、これら口唇裂と口蓋裂の双方が組み合わさっている場合も多く見られま
す。
口唇裂・口蓋裂の赤ちゃんが生まれる割合は、人種や地域によってかなり差が
あり、白人の900〜1000人に一人の割合に対して、黄色人種である日本人ではお
よそ500〜600人に一人とされ、他の人種より発生の割合がかなり高いと言われて
います。